CASE 29

株式会社セイタロウデザイン

(2020年6月〜現在)

クリエイティブとパブリック・リレーションズ。培った力を社会のために

アートディレクターの山崎晴太郎さんを中心に2008年に設立された株式会社セイタロウデザイン。セイタロウデザインとひとしずくは、2020年に業務提携を行い、SOCIAL DESIGN ROOMをともに立ち上げました。以来、クリエイティブとパブリック・リレーションズ双方から社会をより良い方向へ向かわせる企業や団体を支援しています。株式会社セイタロウデザイン 代表取締役、アートディレクターの山崎晴太郎さんに、お声がけいただいた理由や今後の展望を伺いました。

デザインの力をソーシャルグッドのために使いたい

株式会社セイタロウデザイン 代表取締役 アートディレクター 山崎晴太郎さん

ひとしずく担当 こくぼ(以下、こくぼ):
セイタロウデザインさんとは2020年に業務提携し、それぞれの得意分野であるクリエイティブとパブリック・リレーションズの双方から、企業や団体をご支援しています。久しぶりに連絡をいただいたことが始まりでしたが、なぜお声がけくださったのですか?

株式会社セイタロウデザイン 代表取締役 山崎晴太郎さん(以下、山崎さん):
私たちが行っているデザインや広告には、コンペが付き物です。1つのコンペにいくつものデザインエージェンシーが参加しますが、勝つのは1社のみ。残りのエージェンシーがコンペにかけた費用や労力は、無駄になってしまいます。そうであればその費用を、ソーシャルグッドを支援するクリエイティブに使ったら、社会はもっと良くなると思い、何か具現化できないかとこくぼさんに連絡しました。

こくぼ:
私たちは大学時代からの付き合いですが、当時からお互いが訪問していたフィリピンの話をしている中で、「世界を平和にしたい」と話していましたよね。

山崎さん:
そうでしたね。当時、私はクラブカルチャーに身を置きながら、「2つの世界に生きている」と感じていました。それは今も同様で、グラフィックの世界、アーティストの世界、経営者の世界、ボランティアの世界など、いくつもの世界に生きています。それぞれの世界ごとに「正義の基準」「美しさの基準」が異なり、相容れないのが嫌で。手をつなげたらいいのにと心の底から思います。

こくぼ:
事業としてソーシャルグッドに取り組むことは、そういった思いの延長線上にありますね。

山崎さん:
良い活動も経済と手をつながなければ、社会を変えることは難しいと思います。異なる世界を横断し、一つの方向に向かう為に、人の心を動かし行動変容を起こすことができるデザインの力は有効です。デザインの力が私たちにあるのならば、ソーシャルグッドのために使いたいと思うのです。

自分がやらねばならないと感じるようになった

「スタイルが違うからこそ、山崎さんから刺激を受けています」

こくぼ:
私自身も、パブリック・リレーションズの力をソーシャルグッドに使いたいと考えてひとしずくを立ち上げ、今までやってきました。タイミングがうまく合って、お声がけいただいたのかなと思います。実際にNGOや企業、官公庁などの支援に取り組む中で、セイタロウデザインさんとしてよかったことはありますか?

山崎さん:
とても良かったのは、ソーシャルグッドの「肌触り」が社内に生まれたことです。ソーシャルグッドにピンときていないメンバーもいましたが、実際の案件を通して仕事の意味が見えてきたと思います。「自分たちの力で社会を変えられるんだ」という雰囲気が生まれたのではないでしょうか。ただ、私個人としては変わらないですね。この領域においては、学生時代から、まるで北極星のようなこくぼさんがいるので、昔も今も何かあれば相談しようと思っていました。

こくぼ:
ありがとうございます。確かに、大学時代も同じような議論をしていたことを思うと、議論のレベルこそ違いますが一貫して取り組んできた自負はありますね。ひとしずくとしても、セイタロウデザインさんと提携したことで提案の幅が広がりましたし、セイタロウデザインさんと取り組めたからパートナーさんのリブランディングの支援が行えました。反対に、苦労した点はありますか?

山崎さん:
ひとしずくは、ソーシャルグッドに長年取り組んでいるので、この領域で期待されるアウトプットのレベルが高いと感じていました。たとえばSDGsに取り組み始めたばかりの企業はロゴを貼り付けるだけということもあります。ですが、本質的な提案では、もっと踏み込んだデザインが求められているのではないかと思っていたのです。

こくぼ:
おっしゃるとおりで、こだわっているのは「外部の支援会社としては言いにくいことも正直に話す」という点です。ですから、「販促のためのSDGsではないですよ」とパートナーさんにきちんとお伝えしています。

山崎さん:
必要なことですね。業務提携を経て「ソーシャルグッド」は、私たちの会社にとって核となるキーワードとなりました。ソーシャルグッドに関わる事業は楽しいし、おもしろい。人は楽しい方にしか動きません。今、社会を一気に変えていくタイミングだと思います。「ソーシャルグッドは楽しいし、事業としての成果も出るし、さらにおしゃれだ!」という方向にぐっと動かしていくことを、ひとしずくと私たちはデザインやコミュニケーションで応援しているのです。

こくぼ:
そうですね。今変えないと間に合わない、とも言えます。

山崎さん:
はい。社会には、普通に間に合わないことが本当にあるのだと、この数年で気付かされました。多くの人が「社会にとってこっちのほうがいいよね」と思うことでも、少しの経済性や、何かしらの立場や組織の力学で別の方向に行ってしまう。以前はどこかで「人は、最後は社会にとって正しい判断をするだろう」と思っていたのですが、今はその渦中に入りたいですね。他人事にせず自分たちがやらねばならないのだという感覚を強めています。

ソーシャルグッドを応援する仕組みづくりをより大きな視点で

「空想動物図鑑」という広告キャンペーンで作った想像上の動物たちのフィギュア

こくぼ:
山崎さんが今後実現していきたいことはありますか。

山崎さん:
日本は独特な文化や考え方を持っていると思います。新しい価値観を日本から世界に発信していきたいです。

こくぼ:
日本人自身が、自分たちの価値を過小評価している可能性がありますね。自信を持って世界に発信していけるようにサポートできたらと思います。最後に、ひとしずくへの叱咤激励をいただけますか?

山崎さん:
今、ひとしずくにオファーが増えているのは、相対的に選ばれているのだと思います。これからは、ひとしずくの存在が絶対的な価値になるよう、マスにレバレッジを効かせることも必要です。どうすればもっと多くの企業や団体を支援できるのか。どんな仕組みを作れるのか。考えていくともっと大きなムーブメントになっていくのかな、と思います。

こくぼ:
今までは実態を形作るフェーズでした。こうして業務提携する中で、より大きな視点・考えに基づいて動ける状態になってきたのだと感じます。ありがとうございました。

撮影:ほりごめひろゆき 編集:近藤圭子

RECENT WORKS

社名ひとしずく株式会社
所在地本社:〒231-0003 横浜市中区北仲通3-33
大磯オフィス:神奈川県中郡大磯町大磯636-1
電話045 900 8611
FAX045 330 6853
メールinfo@hitoshizuku.co.jp
代表こくぼひろし
設立2016年3月
資本金3,000,000円
事業内容広報及びパブリックリレーションズ代理業
ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
顧問弁護士丁絢奈(よこはま第一法律事務所)
税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション