CASE 34

公益財団法人 旭硝子財団

(2019年7月1日~現在)

環境問題に関する高い意識と専門性で、
多面的にサポートしてもらえた

旭硝子財団は、人々が真の豊かさを享受できる社会や文明をつくることへの寄与を目的として、半世紀以上にわたり活動を行っています。次の時代を拓くため、研究への助成や優れた人材への奨学助成を行うほか、「ブループラネット賞」を創設し、地球環境問題の解決に向けて大きく貢献した個人や組織を顕彰しています。ブループラネット賞の認知拡大施策に取り組む中で、広告代理店を通じてひとしずくにお声がけをいただき、SNSの運用や受賞者へのインタビュー記事の制作、環境意識調査など、多面的に業務の支援を行ってきました。協働することで感じたこと、これから取り組みたいことについてお話しいただきました。

メディア発信から新たなコンテンツ制作まで。年を重ねるごとにサポート内容が広がった

公益財団法人 旭硝子財団 顕彰事業部 部長 田沼敏弘さん

ひとしずく担当 かねこまみ(以下、かねこ):
ひとしずくが旭硝子財団さんにご一緒し、サポートを始めて5年目に入りました。お声がけをいただく際に感じていらした課題はどのようなものだったのでしょうか?

公益財団法人 旭硝子財団 顕彰事業部 部長 田沼敏弘さん(以下、田沼さん):
旭硝子財団は、地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞「ブループラネット賞」を1992年に創設しました。30年近く活動を続けてきて、さらに多くの人にこの賞を知っていただきたいと、2019年にブループラネット賞の認知度向上を目的としたプロジェクトが立ち上がりました。世の中ではSNSがかなり盛んになっていた時期で、私たちもSNSを認知度向上に役立てたいと考えていました。SNSを見ていただくためには、専門的な内容を継続して投稿していかなくてはなりません。自分たちだけで頻繁な投稿をしていくのは時間的に難しいということになり、協力してくださる外部の方を探すことになりました。

かねこ:
旭硝子財団さんが、もともとお付き合いのあった広告代理店の方に課題についてご相談されたのですよね。環境問題を意識して活動しており、専門性が高いPR会社としてひとしずくの名前が挙がったのがきっかけと伺っております。本当にありがとうございます。
ちなみに、一般の認知度が十分ではないと感じるようなきっかけがあったのでしょうか?

田沼さん:
ブループラネット賞の講演会や、一般生活者に対する環境意識調査のアンケートなどで、「ブループラネット賞を知っていますか?」という設問を設けると、「知らない」と答える方が8〜9割でした。受賞者の講演会への来場者も、一生懸命広告宣伝をして、やっと集まるという感じだったのでもっと認知度を上げる必要性を感じていました。

かねこ:
お声がけをいただいてから、一般生活者の方に向けて、まずはFacebookとX(旧Twitter)でブループラネット賞に関することや、環境に関するトピックについて記事を制作し、発信を始めました。
そこから、コロナ禍で来日できなかったブループラネット賞受賞者を紹介する特設サイトの制作、受賞者に関するプレスリリースの発信、その内容の改善について広告代理店の皆さんと一緒に考えました。また、新たなコンテンツとして、過去の受賞者および助成研究者にインタビューを行う「af magazine」をご提案し、以来、施策は継続しています。

田沼さん:
最初はSNSでの発信活動のサポートを中心にお願いしたのですが、継続的に支援いただく中で、活動内容も多面的に広がりました。

地球環境問題に関する高い専門性で、一般生活者の方に向けた発信を実現できた

「調査結果が多面的に活かされたことがとても嬉しかった」

かねこ:
ひとしずくがご一緒した活動のプロセスや結果について、良かった点や苦労した点はどのようなところでしょうか?

田沼さん:
SNSの発信内容について、やはり文章をつくるプロだと感じました。専門的な内容が多いのですが、自主的に内容についてきちんと調べて書いてくださっているのが良く分かります。
「af magazine」のブループラネット賞受賞者の講演会の内容をまとめた記事に関しては、講演会が終わって間もないのに素早くきれいにまとめていただいて、驚きました。

かねこ:
講演会の前に、内容をより良く理解するため受賞者の方のお話しを聞く機会を設けてくださったのが大きかったと思います。研究者のお話しとなるとより深い専門知識が必要なのでお願いをしましたが、ご快諾いただき本当にありがとうございます。

田沼さん:
研究内容をよく把握して書いてくださっていました。下調べと事前のヒアリングがあったことが、スムーズな発信につながったかもしれませんね。
新たに始めた受賞者へのインタビューを連載する「af magazine」も、記事が出た直後にアクセス数が伸びるなど、評判が良いようです。
SNSの発信について大変だった点は、ひとしずくさんが送ってくださった投稿の内容について間違いがないか、過去の受賞者に関する投稿であれば、その方の業績と投稿の内容を照らし合わせて整合性がとれているのかチェックする必要があったことです。ただ作成をお願いして完成した内容をUPするだけではすまないのだと実感しました。
フェイスブックやツイッター(現在のX)に毎週1本以上の投稿をしていたので、ひとつ完成したらすぐ次の投稿を準備するというような忙しいスケジュールでしたが、投稿を企画、制作する部分をお願いできたので、私たちの負担も軽減されました。

かねこ:
ありがとうございます。こうした情報発信のほか、環境問題の有識者が抱く危機感を時刻で示した「環境危機時計」が一般の人々の話題になるようにと、専門家の方だけでなく一般生活者向けの環境危機意識調査も新しく提案し、継続してきました。こちらについての反応はどうでしたか?

環境危機時計は、環境問題の有識者が地球環境の変化により感じる人類存続の危機感を時計の針で表したもの。

田沼さん:
1992年から世界中の研究者など、環境問題の有識者を対象に続けてきたアンケート調査について、一般の方の意識調査も並行して行うことをご提案いただき、またアンケートの設問についても積極的に提言していただきました。
それらをふまえて行った調査結果を発表した時に、お問い合わせが例年よりも多くあり関心をより持っていただけたと実感しました。

かねこ:
お問い合わせ、というのはどのような内容だったのでしょうか?

田沼さん:
大学教員の方から、「講義で危機意識調査の結果を用いたいので、内容についてもう少し詳しく教えて欲しい」ということや、メディアの方が記事を書くのにもう少し詳しい内容を知りたいというお問い合わせが多かったですね。

かねこ:
メディアだけでなく大学の方からも調査に関心を持っていただき、嬉しいことですね。

田沼さん:
反響があった設問には、ご提案いただいた設問も含まれていました。例えば、スーパーのレジ袋が有料化された年には「有料化する前と比較して、あなたの生活における環境問題への意識や行動について変化はありましたか?」という内容や、新型コロナウイルスの流行時には、「新型コロナ流行以前の生活と比較して、あなたの生活における環境問題への意識や行動について変化はありましたか?」など。その時々のトピックに絡めた内容が多くの方の関心を得たのだと思います。

かねこ:
持続可能な地球と社会について考える国際シンポジウム「朝日地球会議」でも、トークテーマに危機意識調査のことをとりあげていただきました。調査結果が多面的に活かされたことが嬉しかったです。

田沼さん:
あとは、ブループラネット賞受賞者の記者会見の開催のサポートをしていただきましたが、想定よりも多くの記者が来てくださってとても嬉しく思いました。受賞者の方も、「こんなにたくさんの記者の方が集まってくれた」とステージ上から記者席を記念撮影されていて。とても喜んでいただき良かったです。
あとは、会見の際に配るお水をペットボトルではなく、紙のボトルにしましょうという提案もいただき、細かな気配りを感じました。

かねこ:
受賞者の研究内容が、海洋プラスチックに関する問題だったこともあり、少しでも環境に配慮する選択をしたいとの考えからでした。提案をご快諾くださりありがとうございました。地球環境の課題解決に取り組む方々を応援したいという旭硝子財団さんらしさも出ていた選択だったと思います。

地球環境に向き合う若い世代を応援し、より良い方向へ向かう社会づくりに貢献したい

かねこ:
良かった点についてたくさんお話いただきまして、ありがとうございます。それとは逆に、「もっとこうして欲しい」改善すべき点についてもご意見をお聞かせください。

田沼さん:
認知度施策については、より一層のフォロワー数やリツイート数の向上を目指し、SNSでの内容や発信の方法など、さらに工夫できる余地があると感じています。

かねこ:
そうですね。投稿内容や記事の長さなど、検討しなくてはいけませんね。旭硝子財団さんらしさが失われないよう、どのような方向へ進んでいくべきか、継続して議論させていただきたいと考えています。

田沼さん:
あとは、これは私たちの問題でもあるのですが、財団の活動を地球環境国際賞であるブループラネット賞にふさわしいグローバルなものにするために、SNSで発信する内容を英語でも発信しています。日本だけに限定した内容だと英語で発信するのが難しいので、今後は世界を見据えたユニバーサルな内容の記事制作にご協力いただけたら嬉しいです。

かねこ:
率直にお話しくださり、ありがとうございます。また広告代理店の方とともにご相談しながら解決に向けてご一緒できればと思います。
今後、旭硝子財団さんが取り組んでいきたいことはどのようなことでしょうか?

田沼さん:
まずはSNSのフォロワーの方を引き続き増やしていきたいです。最初は「面白そう」と興味を持ってくださった方が、もう少し踏み込んで環境問題を考えるきっかけになるような内容を投稿して、ブループラネット賞のことも知っていただけたら嬉しく思います。
あとは、小中高生から30代くらいの若い世代へ向けた、環境問題に関する啓発活動にも力を入れたいと考えています。ウェビナーなども行えたら良いですね。

かねこ:
啓発によって、研究者や環境問題について考える方を増やしたい、ということでしょうか。

田沼さん:
はい。研究者が増えたら嬉しいですが、必ずしもそうでなくても良いと思います。環境問題を意識し、多くの方が進む方向について考えなければ世の中は動かないので。多くの方に変わるきっかけを提供し、日本全体が環境問題について良い方向に向かうお手伝いができたらという想いがあります。

かねこ:
ブループラネット賞の認知度をあげることも、その想いに繋がりますね。

田沼さん:
はい。ブループラネット賞による顕彰はもともと、環境問題への人々の意識を高めるための活動の一つですので。
今後私たちがターゲットにしようとしているのは、かねこさんはじめひとしずくの皆さんくらいの世代の方々なので、同世代の感覚を理解しながら色々な発信内容のご提案をしていただけたら嬉しく思います。

かねこ:
2019年に旭財団さんがご依頼くださったのは、ひとしずくが創業から数年のころで、「新たに、地球環境など社会課題に取り組む若いエージェンシーを応援したい!」と言ってくださったと聞いています。本当に心強いお言葉をいただき、ここまで継続してご一緒できていることに感謝しております。これからもどうぞよろしくお願いします。

撮影:ほりごめひろゆき 編集:つじはらまゆき

RECENT WORKS

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代表こくぼひろし
設立2016年3月
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ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
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税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション