CASE 06

パタゴニア日本支社

(2018年4月)

外側からの目が、内側への刺激になる

世界的なアウトドアブランドとして知られるパタゴニア。パタゴニア日本支社の環境・社会部門では、山口県上関市の自然の豊かさを伝える「上関ネイチャープロジェクト」への支援を続けてきました。その活動拠点となる体験型宿泊施設「マルゴト」が本格的にオープンするにあたり、お披露目会のPRをひとしずくにお声がけいただきました。環境・社会部門アクティビズムコーディネーターの中西悦子さんにお話をうかがいました。

「問題の本質的な解決のためには、外部との協力が必要だった」
ひとしずくとともに新しいアプローチにチャレンジ。

パタゴニア日本支社 環境・社会部門 アクティビズムコーディネーター 中西悦子さん

ひとしずく担当者 かねこ(以下、かねこ):
まずは、ひとしずくにお声がけいただいた時に、どんな課題を持っていたのか教えていただけますか?

パタゴニア日本支社 環境・社会部門 中西悦子さん(以下、中西さん):
パタゴニアは、アメリカでも日本でも、NGO・NPOなどの非営利団体とともに環境や社会の問題解決に向けての活動を展開してきました。ただ、アメリカと日本では、環境活動における状況、例えば、組織の財政基盤、市民の意識、法律、メディアなどが異なります。

アメリカのNGOは、有給スタッフとして、専門知識・経験・スキルのあるスタッフも多く在籍しており、社会のなかで実行力や発言力を持っています。弊社としても環境キャンペーンという機会をつくり、パートナーシップを組んで問題解決に取り組む場合が多くあります。

一方、日本国内、日本支社が助成する環境団体のなかで有給スタッフを抱えるところはそれほど多くありません。日本の団体は、熱意と粘り強さは素晴らしいのですが、解決のための戦略や活動を広げ多くの仲間を巻き込むリソースが不足している場合もあります。そのため、環境助成金やインターンシップといった弊社のプログラムで資金や人的資源を提供することに加えて、基盤となる組織運営のノウハウ、戦略づくりやマーケティングスキル等のソフト面の協力が必要になる場合があります。

日本の団体の課題に対して、私たちはパタゴニアの持つ資産を緊急性の高い環境問題の解決のために活用したい、という願望から「草の根活動家のためのツール会議」というプログラムを実施してきました。

これは、経験豊かな講師の方たちを招いて、より効果的な活動を展開し、目標を達成するにはどうしたらよいか考える機会を設けるというものです。しかし組織自体のマンパワー不足もあって、組織に戻ると対処療法にならざるを得ず、一時的な機会の提供では解決に向かうことは難しいと感じていました。私たちパタゴニアがもつネットワークを活かして、専門的なスキルや現地への想いをもつ人たちとともに、継続的に活動の生態系をつくっていく必要性があるなと思っていました。

以前から交流のあったひとしずくのこくぼさんにお声がけさせていただいたのはそんな時です。これまでパタゴニア日本支社として、環境や社会の問題解決については、広報も含めて外部のリソースに頼らずに取り組み、なおかつ、後方支援という基本方針で活動してきましたが、先ほど申し上げた通り、日本の環境団体と私たちだけではなく、一緒にテーマに取り組むチームとして考えて、多くの方に関わっていただく必要があると思ったんですね。こくぼさんがNPOやNGOの広報PRを専門に経験を積まれてきていることは別の機会を通じて知っていて、今こそご一緒できるタイミングなのでは、という想いがありました。

かねこ:
サステナビリティにおいて先進的な企業であるパタゴニアさんとご一緒できたことは、弊社にとっても大変刺激的でした。今回のプロジェクトにおいては、具体的にはどのようなことが課題だったのでしょうか。

中西さん:
上関の体験型宿泊施設「マルゴト」のプロジェクトは、ビジョンに沿った施設のコンセプト、施設を実際に建てるところまでは、環境団体の皆さんに加えて、ボランティア、地元の漁師さんや県内の学生、建築家の方の協力もあり、完成にたどり着きましたが、最後の広報については足りていませんでした。

現地の環境団体の皆さんは自然保護の知識、研究としてはプロフェッショナルなのですが、それを拡げ、誰かと共有するためには、まだまだ工夫やこれまでにない協力を必要としていました。この海の自然環境を子どもたちに残し、地域に豊かなつながりが生まれていくためにも、自然に関心のある方だけでなく、子育て世代、ゲストハウスの利用を楽しみにしている方、山口県内の企業や学生、地域の周辺住民に向けてなど、これまでとは異なる方々にアプローチしていくことが必要なのではないかと。

そのように想ったきっかけは、「マルゴト」のプレオープンの時でした。シンポジウム方式で、調査研究視点の専門的な内容を中心に開催しました。団体として感謝の想いをこめての最初のお披露目会でもあったので、呼びかけた方々もどちらかというとゆかりある研究者はじめ、これまでつながりがある方が中心だったんですね。一般の方にまで拡げるためには、情報の切り口や出し方を変えてアプローチが必要だなと思いました。

“外の目”が中に刺激を与える、それが広報の効果かもしれない

アクティビズムコーディネーター中西悦子さんとひとしずくのかねこまみ

かねこ:
今回の「マルゴト」お披露目会では、弊社からのご案内で地域・自然環境系メディアや子育てメディア、ゲストハウスアドバイザー、絵本作家の方などにご参加いただきました。実際にはどのような成果があったと感じていらっしゃいますか?

中西さん:
まずメディアの方々それぞれの視点で記事にしていただいたことは、現地の皆さんにとって刺激になりました。記事の内容としても、プロジェクトのコンセプトが良く伝わってくるものばかりで、メディアの皆さんが共感し汲み取ってくださったことがわかりました。ひとしずくさんから、そのような感度をお持ちの方々にお声がけしていただいた、ということだと思います。

また、ゲストハウスアドバイザーの方にお越しいただいたことは「マルゴト」の中心的人物である管理人の上田健吾さんのモチベーションアップになり、本質的な意味で“外の目”を意識するきっかけになったようです。

地域に根ざした取り組みである場合には、私たちが率先してプロジェクトをリードしてしまうのでは本末転倒で、現場の方々が自走できるようどう仲間を増やしていくか……余白をどうつくるかが重要だと感じています。支援や協働の輪が拡がり“外の目”が入ることで、新たなお客様からの期待値に応えられるクオリティにしていくことをめざしていっていただけたらと思います。

かねこ:
広報の役割として、一般的に“外”に広く伝えるという印象を持たれますが、実は“中”を変える効果がある、ということですね。それは弊社でも大事にしている部分です。先ほど現地の皆さんに刺激があったとのことですが、具体的にはどのような変化があったのでしょうか。

中西さん:
まず、メディアの方に向けてプロジェクトを紹介する資料としてひとしずくさんに作成していただいた「ファクトブック」は、驚きだったようです。これまで私たちからも「一般の方に向けて切り口で伝えてはどうか」といったアドバイスはしてきていたのですが、なかなか現地の皆さんだけの力では資料を作りきることができずにいました。今回、外側からの視点とパワーでひとつの資料が出来上がったことで、「全部を伝えなくてもいい」「どこを伝えてどこを伝えないのか」「ここまで伝えれば一般の方にも伝わる」という情報の線引きのラインが、形になって見えてきたのではないかなと。

かねこ:
ファクトブック制作にあたっては、本番前日に、ひとしずくも入り、中西さん、現地の皆さんの全員で打ち合わせをさせていただきましたね。現地の皆さんと一つひとつ認識を合わせ、一緒に言葉をつくっていけたことで良いものが完成したと思います。答えは現地の皆さんが持っているのですが、その答えをどう整理していくか、ですよね。

中西さん:
ファクトブックは、いまでも外から来た方に、プロジェクトの大枠を伝えるためのツールとして使っていただいているようですよ。相手によって何をどのように伝えたらよいのか、その魅せ方や出し方を、ひとしずくさんや外側の方々と出会うことで理解できたのは現地の皆さんにとって、とても大きな収穫だったのではないかと思います。

「気持ちや感覚の近いメンバーとして“チーム”となり、安心して進めることができました」

ひとしずく担当のかねこまみ

かねこ:
ひとしずくに依頼してよかったと感じている点はありますか?

中西さん:
今回お披露目会までは短い準備期間、かつ内容の変更も多く、状況に応じて随時対応していくことが必要でした。その状況下でも、型にハマらず、走りながら少しずつ積み上げていけた、一つのカタチをつくることができたのは、ひとしずくさんと“チーム”として一体感を持ちながら一緒に走れたからではないかなと思っています。そこは依頼させていただいてよかった点ですね。それは、上関ネイチャープロジェクトの高島さんや上田さんたちも同じ気持ちだと思います。

かねこ:
事前のやりとりは、途中からSNSを利用してお電話したりメッセージしたりで、そういえばお打ち合わせらしいお打ち合わせはしていないですね(笑)疾走感もあり、わたし自身も勝手に“チーム”だなと感じていました。

中西さん:
そうですね。こくぼさんともちょっとお電話したつもりが、そのまま打ち合わせみたいに話してしまって。急いでいるとどうしてもピリピリした雰囲気になってしまいますけど、“チーム”感があったのでなんだか安心してやりとりできるというか、ストレスなく進められることができました。以前からこくぼさんは、問題意識はもちろん、なんとなく気持ちや感覚の近い人という印象がありました。

パタゴニア日本支社も、ただサポートするではなく、寄り添って、ともに社会課題を解決する、そのために必要があれば外部の組織や個人とも協力するという方向に変わってきたタイミングが、こくぼさんがひとしずくさんを立ち上げ、軌道にのられたタイミングとマッチして今回の依頼につながりました。同じ志をもつひとしずくのみなさん、パタゴニアのスタッフ、現地のみなさんみんなでひとつのチーム、そういう雰囲気になれたから、私以外のスタッフたちも安心して進められたと思います。いざというときにチームになれる会社が外部にあることは、とても嬉しいし心強いと感じています。

問題の解決において果たすことができる役割と相互の関係性の理解を深めて、ありたい未来や究極のゴールに向き合ったとき、これまでにない新たな連携や創造的な策が生まれてくると思います。それを体感することができました。ありがとうございます。

RECENT WORKS

社名ひとしずく株式会社
所在地本社:〒231-0003 横浜市中区北仲通3-33
関内オフィス:横浜市中区相生町2-52-304
東京オフィス:港区芝4-7-1 西山ビル4F
海外拠点:Norra Kyrkogatan 26, Visby, Gotland,
Kingdom of Sweden
電話045 550 4141
FAX045 330 6853
メールinfo@hitoshizuku.co.jp
代表こくぼひろし
設立2016年3月
資本金3,000,000円
事業内容広報及びパブリックリレーションズ代理業
ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
顧問弁護士丁絢奈(よこはま第一法律事務所)
税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション