CASE 40

特定非営利活動法人happiness

(2023年4月~2024年3月)

社会課題に本気で取り組む小さな組織にも光をあててくれる、ありがたい存在

子どもから高齢者まで年代も立場もさまざまな、社会で居場所を必要とする人が出会い、ありのままでいられる居場所をつくりたいという想いで始まったハピネスの活動。子ども食堂の運営からスタートし、さらに幅広い世代の方の居場所をつくりたいと、地域の人々の居場所となるカフェの運営も始めました。その後は、さまざまな事情で家に帰れない少女のための居場所の提供など、活動の幅を拡大しています。その中で、組織の想いを発信し、支援を増やすにはどうしたらいいか課題を抱えていた際に、ひとしずくへご相談をいただきました。ひとしずくでは、happinessの大切にしている想いや活動内容について、一緒に方向性や事業・情報の整理をし、ホームページ制作の伴走支援を行いました。業務提携をしているセイタロウデザインとともに行ったホームページ制作を通して得られた気づきやひとしずくへの印象について、お話を伺いました。

広報の柱となるホームページ制作。事業について深く理解しているひとしずくに迷わず相談した

特定非営利活動法人happiness 理事長の宇野明香さん

ひとしずく担当 わかな りさ(以下、わかな):
2022年から日本財団の「子ども第三の居場所」事業の一部をサポートする中でhappinessさんと出会い、2023年の4月からはWEB制作を含めたひとしずくの伴走支援をスタートしました。日本財団さんのプロジェクトでご一緒した後にお声掛けをいただき、とても嬉しかったです。その頃にハピネスさんが感じていた課題について教えてください。

特定非営利活動法人happiness 理事長 宇野明香さん(以下、宇野さん):
私たちは2016年に特定非営利活動法人happinessを立ち上げ、京都市の南区で「ハピネス子ども食堂」の運営をスタートしました。私自身、働きながらの子育ての大変さを身をもって経験したのがきっかけです。現代は核家族化や共働き世帯の増加にともない、子育て環境の孤立が進んでいます。子どもや保護者が助けを求めにくい社会になっているとの危機感から、少しでも親子が安らげる居場所を提供したいという想いで始めました。

わかな:
その後も、さまざまな事業を展開されていらっしゃいますよね。

宇野さん:
はい。子ども食堂を始めてから地域の方とお話する機会が増え、子どもだけではなく、年代も立場もさまざまなあらゆる方が居場所を必要としていることに気づきました。そこで、居場所を必要とするあらゆる方が利用できる地域の居場所をつくろうと「ハピネスカフェ」の運営もスタートしました。そのほか、何らかの理由で家に帰ることができない少女へ住居の提供や、生活のサポートを行う「ハピネスハウス」の運営も行っています。

わかな:
ハピネスさんとして活動を広げていくにあたり、どのような課題を感じていらっしゃったのでしょうか?

宇野さん:
居場所を心から必要としている方に情報を届け、支援してくださる方を増やすためにはホームページやSNSの運用が重要だということは何となく理解していました。2022年に、日本財団の「子ども第三の居場所」事業で、居場所運営をする団体向けのサポートを受けて、広報の計画の立て方や基礎知識を教えていただいたんです。1年間のサポートを終え、実際に自分たちだけで発信する段階になったのですが、「これでいいのだろうか」と不安になってしまって。子ども食堂を始めた頃から団体のホームページや子ども食堂に特化したブログを運営していたのですが、うまく機能していないような気がしていました。

わかな:
ホームページやブログが上手く機能していないと感じていた点はどのような部分でしたか。

宇野さん:
ハピネスが子ども食堂からスタートしたこともあって、子ども食堂のブログはたくさん見ていただけていたのですが、一方団体のホームページはあまり見ていただけておらず、団体としての想いや、ハピネスカフェやハピネスハウスなど、子ども食堂以外の活動についての情報が上手く伝わっていないと感じていました。ブログとホームページを1本化したかったのですが、何から手をつければいいのか、分からない状態でした。

わかな:
そのような悩みを抱えていらっしゃる中、ひとしずくにお声がけくださいましたね。どのような期待をもってお声がけをしてくださったのでしょうか?

宇野さん:
ひとしずくさんには、日本財団の「子ども第三の居場所」事業のプロジェクトでお世話になり、居場所を運営する複数の団体に向けてPRのサポートを行ってくださいました。個別に相談した際も、じっくり私の話を聞いてくださったり、子ども食堂だけに関わらずハピネスの活動のことを、深く知ったうえで広報のアドバイスをしてくださったのが印象的でした。

ハピネスのホームページを新たにつくるとなると、やはり事業全体を知っていただく必要があります。すでに関係性ができていて、信頼できるひとしずくさんならお願いできると思い、迷わずお声がけしました。
ホームページ制作を専門にされているわけではありませんが、デザイン制作を行ってくださる会社なども紹介できるとのお言葉をいただき、安心してお願いできました。

社会課題に本気で取り組む小さな組織にも光をあててくれる存在

左)happiness の宇野さん 右)ひとしずくのわかな

わかな:
ホームページを制作するにあたり、セイタロウデザインさんとともに、まずはハピネスさんの事業に対する想いや、事業内容を言語化することから始めましたね。同時に、どのように支援を集めていきたいか、ファンドレイジングの専門家の方を交えながらメニューをつくっていきました。出来上がったホームページについては、いかがですか?
ハピネスのホームページはこちら:https://happiness-world.jp/

宇野さん:
本当に素敵なページが仕上がって、感謝しています!周囲からの反応も良くて、「すごいのできたやん!」とたくさんの方に褒めていただいています。
お褒めの言葉をいただくたび、素敵なホームページに見合うような活動をしっかりとやっていかなければ、と気が引き締まります。

わかな:
ご満足いただけてとても嬉しいです!宇野さんはじめ、ハピネスの皆さんは巻き込み力があって、元気で、それぞれ想いをもっていらっしゃるからこそ、魅力的なお人柄が反映され、素敵なホームページが仕上がったのだと思います。制作にあたり、大変だったのはどのような点でしたか?

宇野さん:
とにかく、想いを言語化する作業が一番大変でした。ホームページのデザインを担当してくださったセイタロウデザインさんが、制作前にハピネスを見学に来てくださって、いろいろお話をしました。その時に「キャッチーな言葉や画像で引きつけるのではなく、読めば読むほど理解できるサイトにしましょう」と提案してくださって。想いを文章にするのに本当に時間かかりましたが、その分噛めば噛むほど味がでるようなページに仕上がったと思います。

わかな:
ハピネスさんの理念にある「一人で生きることができないからこそ、『お互いさま』と許しあい、誰かにもらった『恩』を、次の世代に贈り、『ありがとうのサイクルをまわす』ことで未来をつくっていく」という部分は、印象的なワードがいくつも登場しながら、宇野さんらしい温かさが感じられて特に心に響きました。

宇野さん:
ありがとうございます!

わかな:
ホームページが新しくなり、ハピネスさんの中で何か変化はありましたか?

宇野さん:
一番大きかったのは、私たちの中で大切にしている想いをきちんと整理できたことです。制作の過程で、メンバーで集まりなぜハピネスの活動に参加しているのかを改めて一人ずつ話をしました。メンバーだけでなく自分の中の想いにも改めて気付かされ、とても刺激的な経験になりました。お互いの想いを理解し、同じ方向に向かって歩んでいこうという気持ちがより強くなり、お互いの考えていることや想いを常に確認しながら日々を過ごしていくことがとても大切なのだということを体感させてもらいました。
集まってメンバーに話した時の私の言葉が、今はホームページに並んでいて、それを見るたびに自分の原点に戻ることができています。制作のプロセスは本当に大変で、予想以上に時間もかかってご迷惑もかけてしまったこともあったのですが、ひとしずくさんにはいつも優しく励ましていただいて。本当に感謝しています。

わかな:
こちらこそ、ハピネスさんとご一緒できてとても感謝しています。ご一緒する中で、ひとしずくの印象は当初から変化はありましたでしょうか?

宇野さん:
実は、初めてひとしずくのこくぼさんにお会いした時、「PR会社」と聞いて私が抱いていたイメージと全く違うなと思ったんです。時間通りにバリバリタスクをこなして、グイグイと引っ張ってくれるイメージ。

わかな:
実際にはどのような印象でしたか?

宇野さん:
静かに温かく見守りながらも、向かうべき方向へサポートくださるイメージです。よくね、私たち、会議中にも話が脱線するんですよ。無駄話が多くて(笑)。それを無理に止めないでこくぼさんは静かに聞いてくださって、意外にもノリノリで付き合ってくださることもあって。そしてナチュラルに話を本筋に戻してくださるのはさすが!と思いながら見ていました。

わかな:
毎月の会議では、つい盛り上がって長くなってしまうこともありましたね。

宇野さん:
そうなんですよ。でも、そういう時間もとてもありがたかったんです。雑談の中から、「せやせや!これも相談したかったんや」と思い出したり、困りごとが言語化されたり。ひとしずくさんが毎回遅くまで付き合って、それをきちんと汲み取ってくださったのが本当に助かりました。

わかな:
お話する中で、これもできる、あれもできる!と新しいアイデアや方向性が出てきて、私も楽しみながら参加していました。

宇野さん:
私たちの話をよく聞いて、理解してくださったからこそ、安心してお願いできるなという思いはずっと変わりませんでした。
私たちのようなNPO法人は、広報に大きな予算を割けないことがほとんどです。ひとしずくさんのホームページにも、「社会課題に本気で取り組む人や組織を後方支援する」ということが書かれていて。今回も予算のことから相談させていただいて、実現することができました。外部のパートナーの方が、私たちの活動を大切に思ってくださることは本当に嬉しいですし、ありがたい存在です。

こども食堂開催時のようす

想いを改めて言語化し、未来へ向けて共感を生み、一歩を踏み出せた

わかな:
今回、ひとしずくの伴走支援を受けて、新たな気づきはありましたか?

宇野さん:
これまでもブログやSNSの発信は一生懸命取り組んでいました。それをより多くの方に目にしていただくためのプレスリリースや、メディアとの対話の方法については全く想像つかなかったのですが、具体的な手順も教えていただき、ある程度自分たちでできるようになりました。あとは、どうやったらメディアに取り上げていただけるのか分からず、連絡が来るのをひたすら待つしかないと思っていたんですが、実はそうではないということも分かりました。
メディアに取り上げられないとしても、団体としての想いを発信し続ける大切さを教えていただいたので、支援が終わった今も継続して取り組んでいます。

わかな:
一時的なサポートではなく、これからの基盤になるものをつくりたいという思いで私たちも取り組んでいました。成果に結びついてるとのこと、良かったです!ほかにも、ホームページ制作を通してえられた手応えは何か感じていらっしゃいますか?

宇野さん:
私たちが「目指したい未来」を改めて示せたことで、子ども食堂を運営する他の団体さんが、それを目標にしたい!と言ってくださったことは私たちの励みにもなっています。また、私は講演会や大学の講義に読んでいただいてお話することがあるのですが、その時にもホームページを見てくださいとご案内しています。確実に私たちの思いを伝えられるツールを持つことができました。私たちの考える理想の未来を掲げることができたので、達成のためにはすぐに結果が出るわけではないかもしれないけれど、確実に大きな一歩になっています。

わかな:
さまざまな広報支援を行う中で、ホームページはその人や組織について知っていただく非常に大事なツールだととらえています。反響があったことはとても良いことですね。

宇野さん:
今、新しいスタッフの採用をしているのですが、皆さんホームページを見て来てくださるんです。私たちの思いにとても共感した上で来てくださっていることも、とても良い変化の一つです。

わかな:
ハピネスさんとして、今後取り組んでいきたいのはどのようなことでしょうか?

宇野さん:
2024年は体制をととのえる1年だととらえていて。事業を増やすというよりは、いまある事業をきちんと守り育てていきたいという思いでいます。そのために新しいスタッフを交えて、運営の基盤を整えていきたいですね。あとは、私たちの理念に共感してくださる方と一緒に、居場所をつくるための基金をつくりたいと思っています。

わかな:
とても素敵です。ひとしずくとしても、社会課題に取り組むNPO法人などの団体へ向けた広報コミュニティをつくりたいと考えて取り組みを進めています。また、ハピネスさんとご一緒できる日を楽しみにしております!

宇野さん:
とても素敵ですね!今から楽しみです。こちらこそ、今後もよろしくお願いします。

撮影:ほりごめひろゆき 編集:つじはらまゆき

RECENT WORKS

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代表こくぼひろし
設立2016年3月
資本金3,000,000円
事業内容広報及びパブリックリレーションズ代理業
ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
顧問弁護士丁絢奈(よこはま第一法律事務所)
税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション