CASE 35

株式会社 One Planet Café

(2017年6月〜現在)

ひとしずくは、共通理解の上で協働できる、大切な仲間

エクベリ聡子さん、ペオ・エクベリさんが創設したOne Planet Caféは、サステナビリティに貢献するビジネスを生み出すことをミッションに、日本企業への講演や視察ツアー、クライメートポジティブなバナナペーパーの生産事業などを展開しています。ひとしずく株式会社創業期(2017年11月〜2018年5月)には、会社顧問に着任いただき、弊社のあり方に多くの助言をいただきました。その後もさまざまな場面で協働してきた2社ですが、2023年6月にはSDGsロゴをデザインしたヤーコブ・トロールベック氏による来日イベントを、7月にはスウェーデンサステナビリティツアーを共同開催し、その連携を一層深めています。One Planet Caféのお二人は、ひとしずくと協働する価値と可能性をどのように考えているのか。サステナビリティツアー中にお話を伺いました。

サステナビリティを具体化していく本当の「仲間」

株式会社One Planet Caféのエクベリ聡子さん、ペオ・エクベリさん

ひとしずく担当 こくぼ(以下、こくぼ):
今日は、これまで協働してきた仕事を振り返りつつ、お互いにどんな変化が起きてきたのか、今後めざすことを含めて、お話できたらと思っています。当初から、One Planet Caféさんは情報発信に課題があるとおっしゃっていて、お二人の後方支援をできればという意識がありました。スウェーデンサステナビリティツアーの報告会を企画したり、メディアの取材をお繋ぎしたり。今年のヤーコブさん来日の際は共催でイベントを企画して、運営や広報をひとしずくが担当し、株式会社フューチャーセッションズや合作株式会社とともに実施しました。このあたり、どう感じていらっしゃいますか?

株式会社One Planet Café エクベリ聡子さん(以下、聡子さん):
講演会やツアー、バナナペーパー事業など、目の前のことで忙しくて情報発信ができない、というのは、ずっと私たちの課題です。ですから、ひとしずくの動きは本当にありがたく思っています。ひとしずくのすごいところって、私たちの持っていないネットワークを持っているところ。単に情報を発信するだけではなくて、ひとしずくの持っているネットワークを使って伝えてくださるから、確度の高い繋がりをつくることができるんですよね。基礎があって、その先に踏み出したい方と繋がることができる。インパクトのためにとても価値のある繋がりが生まれていると思います。

株式会社One Planet Café ペオ・エクベリさん(以下、ペオさん):
私たちは世界という目線でサステナビリティの事業を進めているけれど、ひとしずくは主に日本国内で活動しているから、日本らしいネットワークがありますよね。私たちは直接的でピンポイントなサステナビリティの活動ですが、ひとしずくには、日本らしいしなやかでゆるやかなネットワークの力がある。

聡子さん:
架け橋になってくださっている感じですよね。私たちの活動を理解した上で、こういうことですよね、と伝わりやすい形にしてくださっていると感じます。お互いの共通理解がある上でお仕事してくださるから、とても進めやすくて、私たちも社内の人という感覚でお付き合いさせてもらっています。ひとしずくは、サステナビリティに特化して創業された会社で、私たちOne Planet Caféもまさにそう。サステナビリティを具体化していきたいという想いで立ち上げた会社なので、本当に「仲間」という感覚です。

ペオさん:
こくぼさんと仕事する時は、あんまり心配しないよね。1から10まで説明しないと理解できない人が結構多いけれど、こくぼさんは1から2まで話したら自動的にすぐわかってくれるから、とてもやりやすいですよ。

ひとしずくには、もう一歩踏み込んでリーダーシップを発揮してほしい

共催した2023年のサステナビリティツアー中、世界初の環境ラベル認定ホテルであるスカンディックホテルにて

こくぼ:
One Planet Caféとの協働で、私含めひとしずくメンバーが変化したなと感じるところはありますか?

聡子さん:
2018年にスウェーデンのゴッドランドで開催したchart project®の展覧会の時、担当のかねこさんの変化はとても印象的でした。短期間でもスウェーデンでのPRの仕方を学んで、オープンに、積極的に話をしに行くようになってくださった。文化の相互理解はやはり大事だなと私たちも実感した出来事でしたね。

ペオさん:
chart project®の展覧会は、ゴットランドの方達もすごく興味を持ってくれたし、やってよかったと思います。でも、その時来場者からも聞かれた声で、私も感じるのは、絵を見て良いねというのは大事だけど、それが世界を本当に変えるのか、本当に間に合うのか、ということ。行動を起こすためのもう一歩が必要だと思います。すごくポジティブで良いプロジェクトだね、でもどうすれば良い?という疑問に答えることが必要。ひとしずくにはポテンシャルがあるから、できると思います。

聡子さん:
今、日本ではとくに、リーダーシップを待っているところがあると思うんです。今地球が危機的な状況にあるということをよくわかっている私たちだからこそ、「じゃあこうしよう」という投げかけを発していかなければ。議論を呼ぶこともあるかもしれませんが、あえてちゃんと投げかけることが必要じゃないかなと思います。

ペオさん:
ヤーコブさんもよく言っている、「Information is not Communication(情報はコミュニケーションではない)」です。投げかける情報だけ、勉強するだけでは充分ではない。行動しないと。だからキックとかプッシュが必要で、今ひとしずくはその一歩手前にいるから、もう一歩進めばすごく大きい変化を起こすことができると思いますよ。

こくぼ:
ありがとうございます、そうですね、今回のスウェーデンサステナビリティツアーで、デザイン戦略会社のBVDさんの講演で「グリーンハッシング(環境に配慮した行動をしていても、世間からの指摘を恐れてその行動を主張しないこと)」のリスクという話がありました。私たちは行動している人たちを支え、エンパワーメントする仕事をしていきたいと思ってはいるのですが、ひとしずくとしてポリシーを持ち発信することや、ひとしずくとしてサステナビリティにどうコミットメントするのか明らかにすることは、やってきていなかったなと認識しました。

聡子さん:
私たちがよくご説明する、2:6:2の法則(社会を積極的に動かそうと行動する人は2割、アプローチすれば動く人が6割、何を伝えても変わらない人が2割いると考える法則)でいうと、ひとしずくさんが取り組んでいるのは、6割の人たちを動かすために行動する2割の人たちの後方支援ですよね。その立ち位置を変える必要はないと思うんです。でも、「6割の人たちを動かす必要がある」という共通認識を持った上で、支援することが大事かなと思います。

小さな活動を、ネットワーキングの力で大きなインパクトに。

2023年5月29日に共催したヤーコブ・トロールベックさんの来日イベント

こくぼ:
One Planet Caféさんが、我々と一緒に仕事をしてきて、可能性を感じたのはどんなことでしょう?

ペオさん:
6割の人をもっと巻き込むことは、私たちにとってもまだ課題の部分。ある時のツアーで、虫の存在は大切だよという話をして、虫がたくさんいる野原に行きました。そうしたら、参加者の一人が「スウェーデンはすごくきれいな国だと思っていたのに虫がいっぱいいるのね」と言ったんです。私の言っていることの意味が全然伝わっていなかったんです。別の例では、スウェーデンでは包装を減らしていて、包装を減らすことでCO2も減る、という話をしたんですが、ツアー後参加者が「スウェーデンで買ったお土産のチョコレートが個包装じゃないから配るのに困る」とSNSでアップしていたこともありました。私の伝え方だと伝わらない人もいるなかで、幅広い人たちに伝えるための表現については、ひとしずくから学ぶ部分がすごく大きいなと感じています。

聡子さん:
ツアーの共催で、会社と会社の連携することの意義を本当に実感しました。初めての共催でしたが、ひとしずくに集客を担当いただいた結果、実際に国内でサステナビリティに関する活動をしている方がたくさん参加してくれて、ツアー後の動きにとてもワクワクしています。いつものツアーでは、帰国してアクションしてくれるだろうなと思う方が1〜2人はいらっしゃるのですが、今回は参加者の皆さん多くの人がアクションしてくださる予感があります。

こくぼ:
ありがとうございます。私も手応えを感じているので、来年、再来年と、年に1回は、共催でのツアーを続けていきたいと思っています。ツアーの他に、これからひとしずくに期待すること、さらに一緒に取り組みたいことって、どんなことがありますか?

聡子さん:
私たちも、ネットワーキングはすごく大事だと思っているので、そのあたりをご一緒できるといいなと。

ペオさん:
とくに日本国内のネットワーキングね。

聡子さん:
今回のツアーもそうですし、これまでの私たちのスウェーデンツアーに参加してくださった方々のネットワーキングについて、具体的に進めていきたいと思います。つながっておくことで、情報のアップデートができたり、ツアー参加者のアクションを見て励みになったり、ネットワークによって皆さんをエンカレッジすることができると思うんです。失敗とか、ぶつかりとか含めて共有することで、次のステップに進めるのではないかと思います。

ペオさん:
ツアーの参加者も、日本に帰国すると、どうしても日本の思考に戻ってしまう。周りの理解が得られないと、ひとりで頑張るのは難しいですよ。参加者同士がつながって、日本でどう実践するかという情報交換ができたらいいですよね。

聡子さん:
スウェーデンの人たちは、ネットワーキングがすごく上手なんです。一人ひとりの力は小さいけれど、つながって社会にインパクトのある動きが生まれています。日本だと、良い活動をしている団体があっても孤立しがちだと感じます。目指していることをいかに共有できるか。お互いに「ここを目指してる」ということを共有して、支え合えることが大事ですよね。

こくぼ:
ありがとうございます。まさに、ひとしずくとOne Panet Café さんが、影響力のあるネットワークの一つですよね。私も、日本での実践を広げていくための仲間を増やしていくネットワーク作りを、One Panet Café さんと一緒に取り組んでいきたいと思っています。これからもよろしくお願いします。

撮影:ほりごめひろゆき 編集:ちばたかこ

RECENT WORKS

社名ひとしずく株式会社
所在地本社:〒231-0021 横浜市中区日本大通33番地
小田原支社:〒250-0004 神奈川県小田原市浜町3-1-40
電話045 900 8611
FAX045 330 6853
メールinfo@hitoshizuku.co.jp
代表こくぼひろし
設立2016年3月
資本金3,000,000円
事業内容広報及びパブリックリレーションズ代理業
ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
顧問弁護士丁絢奈(よこはま第一法律事務所)
税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション