CASE 24

大田原市役所 総合政策部政策推進課

(2019年9月~2020年3月)

2018年から2年連続で、3社でプロジェクトチームを組み、
大田原市魅力発信事業「大田笑市プロジェクト」を後方支援

栃木県大田原市が取り組む大田原市魅力発信事業「大田笑市プロジェクト」。2016年から開始したこのプロジェクトは、大田原市からのご相談を受け、A&I合同会社、株式会社HITOMINA、そしてひとしずくが協働して2018年度、2019年度と継続してサポートを行いました。2019年度は市民ライター講座と東京でのイベントを開催。今回はプロジェクトチームのおひとりである、A&I合同会社の今西さんにお話を伺いました。

3社でプロジェクトチームを組み、「大田笑市プロジェクト」をサポート

A&I合同会社 今西敦子さん

ひとしずく担当 たかはしあすか(以下、たかはし):
今西さんとは、栃木県大田原市が2016年から取り組んでいる大田原市魅力発信事業「大田笑市プロジェクト」で2018年度に初めてご一緒してから、2019年度も継続して協働してきました。

まず初めに、弊社にお声がけいただいたきっかけを教えていただけますか?

A&I合同会社 今西敦子さん(以下、今西さん):
私自身は2017年から「大田笑市プロジェクト」チームに入り、市民ライター講座を担当していました。2016年から開始したプロジェクトとして2年目の施策を検討していたときに、市民の皆さんが参加できてさらに市民の皆さんのためにもなる、自走していける仕組みを作っていくのが良いのではないかという話になり、お声がけいただきました。

そのあと、2018年から市民ライター講座の継続と、そのほかにイベント開催といった都内でのプロモーションをやってほしいと大田原市からご相談をいただいたんです。ただ、行政から直接打診を受けた経験がなかったことと、イベントなどのプロモーションはひとりではやりきれないということもあり、以前からご一緒する機会があった株式会社HITOMINAの杉山直子さん(以下、杉山さん)にまずは相談をしました。すると、「そういうことであれば、ひとしずくさんですね!」と教えていただき、迷いなくお声がけしました。

たかはし:
そうだったんですね! 弊社も以前から杉山さんにご相談する機会が多く、そう言っていただけてうれしいです。

今西さん:
なぜ迷いなく決めたかと言うと、すでに他の行政とのお仕事をされていて実績もありましたし、イベントもPRもやっていただけるのであれば有難い、と思ったからです。行政とのお仕事で企画全体に関わる、という経験がなかったので、この3社でプロジェクトチームを組んでやっていこうと思いました。

たかはし:
弊社では2018年度はうしじま、2019年度は私がプロジェクトチームに加わり、「大田笑市プロジェクト」を進めてきました。2018年度に初めてご一緒したときの弊社の第一印象は、いかがでしたか?

今西さん:
杉山さんから「ひとしずくさんはきっちり取り組んでくださる」と伺っており、お会いする前は堅いイメージの方々を想像していたのですが、皆さん柔らかい方々でホッとしました。熱さが全面に出るのではなく、静かに燃えているような印象を受けたのを覚えています。課題解決に向けて、寄り添ってくれそうだと感じましたね。

2018年度に東京で開催した、コーヒーをテーマにしたイベントの様子

大田原市を楽しみながら知れるイベントを開催。企画がすべてだと実感

2020年2月に東京で開催した「暗闇でいちごいちえ」イベントの様子

たかはし:
2018年度は市民ライター講座の実施、首都圏でのイベント開催、ファクトブックの制作に取り組み、2019年度は市民ライター講座と東京でのイベント開催を実施。今西さんは主に市民ライター講座を担当し、弊社は主に東京でのイベント開催を担当しました。

今西さん:
2018年度は、3社の役割分担が曖昧なまま進んでしまった場面があったように思います。イベントの集客もなかなか増えず、地方の自治体が東京で小規模イベントを開催する難しさを感じました。

たかはし:
2018年度は、コーヒーと日本酒をテーマにした2つのイベントを開催したんですよね。大田原市単独でのイベント実施は初めての試みだったものの、自然と参加者同士のコミュニケーションが生まれるアットホームな雰囲気が好評で、2019年度も継続して実施したいとご相談いただきました。

イベントを通じて、首都圏に住んでいる20代・30代の方に、まずは大田原市という場所を知ってもらう第一歩になることを目指し、2019年度は栃木県が誇る果物「いちご」を切り口に企画しました。「面白そう」「参加してみたい」と思ってもらうためにはどうすればいいかを考えたところ、ただいちごが食べられるイベントではなく、一味違った楽しさを感じられる要素として決めたのが、アイマスク着用での食べ比べでした。

いちごの季節である2月に開催したこともあり、結果として今回は集客に悩むことなく進めることができました。

今西さん:
今回のイベントは、大田原市役所の方による大田原市の紹介はもちろん、日本で唯一のいちご専門の研究機関である「いちご研究所」の方からいちごの開発や栄養成分に関するお話、若手いちご農家の方々から大田原市でのいちご栽培と大田原市での生活に関するお話など、内容が盛りだくさんでした。その中で、アイマスクを着用した状態でのいちご食べ比べクイズを取り入れ、参加者がただ聞くだけではなく体験できるコンテンツを実施したことで、満足度が高まったと思います。

アイデア次第でたくさんの方々が参加してくださり、やはりイベントの成功に不可欠なのは企画力なんだと実感しました。今回すごく良かった点のひとつです。いちごをテーマにしたイベントは男性に来てもらえないのでは……と懸念していましたが、女性と一緒に参加してくださっていましたよね。

たかはし:
参加者へのアンケート結果も、大田原市を今回のイベントで「初めて知った」と答えた方が半数以上でした。また、「今回のイベントを機に大田原市に行ってみたい」と興味を持った参加者も7割以上となり、イベントの目的は達成できたのではないかと思います。

プロジェクトチームで動く上で、綿密な情報共有のための工夫が必要に

市民ライター講座で、講座受講者の皆さんと

たかはし:
イベントは成功しましたが、準備段階においては、まだまだできたことがあったのではと反省しています。

今西さん:
3社のスケジュール調整が難しく、全員が揃った状態で直接会ってミーティングをすることができず、不安に感じながら進めていた部分もありました。オンラインだけだと見落としてしまうこともありますし、もう少し細かく情報共有ができていればよりよかったのではと思います。ただ、結果としてはイベント当日の運営もスムーズでしたし、2018年度より満足のいく形で終えることができたと思います。

たかはし:
プロジェクトチームのコミュニケーション方法は、より工夫が必要だったと思います。

2年にわたりお仕事をさせていただきましたが、課題解決に向けてお役に立てましたでしょうか。

今西さん:
「大田笑市プロジェクト」の最終的なゴールは移住・定住促進ですが、まずは大田原市を知ってもらう、興味を持ってもらうことが重要だと思います。今回の取り組みによって、課題解決に向けた1歩を踏み出すことができたのではないでしょうか。

移住・定住促進は年に数回施策を実施するだけでは、そう簡単に解決できる課題ではないと思いますが、私たちができることに取り組み続けたいですね。

たかはし:
そうですね。「大田笑市プロジェクト」に限らず、移住・定住促進のプロジェクトに取り組む際には、小さなステップを設定して地道に継続していくことが重要だと思いました。

今西さん:
大田原市は、素晴らしい環境や文化がある場所なので、その魅力が世の中にきっと伝わるはずだと思います。

たかはし:
私たちもお力になれるように伴走を続けていきたいと思います。ありがとうございました。

撮影:ほりごめ ひろゆき

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