CASE 11

一般社団法人 星つむぎの村

(2018年8月〜2018年11月)

外部だからこその視点で事業内容を整理。焦点を絞った団体パンフレットを制作

「一般社団法人星つむぎの村は、星をキーワードに人々が集うコミュニティです」ーーこれは、今回ひとしずくが制作を行った団体説明のパンフレットの冒頭に使用した言葉です。「星つむぎの村」は、人と人のご縁を大切に、活動を続けてきましたが、活動範囲が広くなり、初めて出会った人に自分たちをどう伝えたらよいのか課題を感じていらっしゃいました。共同代表の高橋真理子さん、跡部浩一さんに、ひとしずくがパンフレット制作を担当することで、課題がどのように解決していったのか、お話しをうかがいました。

「人とのご縁で活動を広げてきた結果、ひとことでは説明しにくい状態に。そんな時、ひとしずくに出会いました」

一般社団法人 星つむぎの村共同代表の高橋真理子さんと跡部浩一さん

星つむぎの村が行う出張プラネタリウムプログラムのひとつ、「病院がプラネタリウム」。空を見上げることが困難な方々に星空を届けている

ひとしずく担当者 さとうりえこ(以下、さとう):
弊社代表のこくぼと高橋さん、跡部さんは以前からお知り合いだったのですよね。ひとしずくに「星つむぎの村」さんの団体パンフレットを依頼していただくまでにどういった経緯があったのでしょうか。

星つむぎの村共同代表 高橋真理子さん(以下、高橋さん):
最初にこくぼさんと出会ったのは、私が実行委員を務める「つなぐ人フォーラム」という山梨県清里で行なっているイベントでした。それぞれの分野で活躍する人たちが150人ほど集まり刺激を受け合う場で、そのフォーラムに、他の実行委員がこくぼさんを連れて来られたんです。その時「ソーシャルグッドなことをしている人の広報を後方支援する」というプレゼンをされていて、ほほう、いつかいっしょにお仕事ができたらいいなと思っていました。でも、その時はそんなに深くお話はできていなくて、ぼんやりといつかは、と思っていたくらいでした。

星つむぎの村共同代表 跡部浩一さん(以下、跡部さん):
何かあるたびに、こくぼさんと仕事を、という話は出ていました。でもなかなか実現せずにいたんです。そんな時に、ファンドレイジングの勉強会でまた出会い直して。一緒にお昼を食べに行って、「伝えない広報」という話をされていたんです。大声で叫べば叫ぶほど人は離れていくということは私たちもよく話をしていたので、感覚の合う人だなと思いました。その場で、私たちの団体が抱える課題について、助けてくださいよという感じでご相談したんです。

さとう:
その時持っていらっしゃった課題感というのは、どういったものだったのでしょう?

高橋さん:
私たちって、基本的にご縁のままに活動を広げてきたんです。ご縁のままにやりたいことをやってきて、広がったら広がったままで、だから収集がつかなくなっていて。こくぼさんにもその話をして、団体パンフレットやそのほかの活動のパンフレットをお見せしながら、テイストやデザインもバラバラで、ということもその時お話しました。

跡部さん:
仕事じゃなくてもいいので、と言ってくださったんだよね。それで、ひと通り私たちの発行しているパンフレットやWEBサイトを見てフィードバックをしていただいたのですが、こくぼさんがおっしゃったのが「何か関わりたいと思って発行物を見てみても、どうしたらよいかわからない状態になっていますね」ということでした。

ご縁のままに活動してきた、ということともつながるのですが、「星つむぎの村」には二面性があって、その二面性があるから自分たちのことをどう説明したらいいかずっと迷ってきたということがあるんです。その二面性というのが、星や宇宙が好きな人たちが集まっているという同好会だったり、だれかと関わりたいというボランティア団体的だったりという形がベースにありながら、「病院がプラネタリム」をはじめとした星空を届ける事業を行なっている事業体という二面性です。ある意味二律背反的な要素でもあって、いつも説明に困ってきたんです。その迷いが発行物にも現れていて、よくわからない団体に見えてしまっていたということだと思います。

さとう:
ご縁で仕事をするというのは、「星つむぎの村」さんをよく表していますよね。今日もプラネタリウム上映を拝見して、気持ちがとても入っていらっしゃって、情熱的に仕事をされていることが伝わってきて感動しました。でも確かに、ご縁を結んで情熱的に走っていると、なかなか全体を見て整理するというのはむずかしいですよね。だからこそ、ひとしずくがお役に立てる部分があったのかもしれません。今回の私たちとのご縁はすごくよいマッチングだったんだなと思いました。

「外部の目線から肯定してもらったことで、私たちはやっぱり“コミュニティ”なんだと開き直れました」

今回ひとしずくが制作を担当し、完成した「星つむぎの村」団体パンフレット

さとう:
最終的には、ひとしずくに団体パンフレットの全面改定をご依頼いただきましたね。

高橋さん:
これまでパンフレットはすべて、自分たちで作っていました。使っているイラストを描いてくれた方はプロの方で、ファシリテーショングラフィックの能力も持っている方だったので「こういうことやっています」というのはある程度全体的に説明できるようにはなっていたんですが、その次の一歩、こういう関わり方ができますよと伝えるところへの踏み込みができていないというのはわかっていました。「すみません、これをみてもよくわかんないと思うんですけど」と言いながらパンフレットを渡していたんですよね。

跡部さん:
データを作る仕上げの部分もデザイナーさんにお願いしていたけれど、何をどこに配置するかはこっちで全部決めていたので、ここまでそもそもから全部外部にお願いするのは初めての経験でした。

何のため、誰のため、という目的は、僕たちが大事にしている部分ではあるんだけど、文章がどうとかイラストをどう配置するとか細かく考えていくうちについ忘れていっちゃうところでもあるんですよね。ひとしずくさんに最初の部分からお願いしたことで、常にそこを認識できて思い出させてくれたから、信頼できましたし、気持ちよく進めることができたと思います。

さとう:
私たちひとしずくのメンバーは、最初にかなりディスカッションを重ねて「星つむぎの村」さんの事業整理をしたのですが、提案の時は内心すごくドキドキしていたんです。私たち外部の人間が整理をして提案をするというのは、ともすると失礼なことにもなりかねないなと。私たち外部が整理して提案すること、その内容に、違和感を覚えることはなかったでしょうか。

高橋さん:
いやー、それはなかったですね。ひとしずくさんに頼んでよかったね、というのは最初からわかったよね。

跡部さん:
そうそう、即わかった。僕らはよく「同じ軌道を回っている」という言い方をするのですけど。もともと近しいところにいる方たちだったから。最初にひとしずくさんがしてくれた「とりあえずの理解」がすごく近いところまで来てくれていたので、もう最初に信頼感がありました。

提案の打率が高いというか、打ってくれるものが響くわけなんですよ、私たちに。だから失礼なことなんてまったくなかった。ピント外れなこともほとんどありませんでした。サッカーでいえば、全部ゴールの枠に飛んでいるシュートだったと思う。そういう感覚を得たから、ひとしずくさんでよかったね、とすごく思っていたんです。

さとう:
それを聞いて安心しました。しつこいようですが、嫌だったな、みたいなことはなかったですか?

跡部さん:
なかったですね。そもそもは会議って、嫌じゃないですか、一般的に。明日会議だってなると気が重くなるものですけど、でもひとしずくさんとの会議は、むしろ楽しみという感じで、嫌なことは全然なかったんですよね。

高橋さん:
それどころか、本当にいろいろと気づかせてもらったことが多くて。改定したパンフレットの表紙に「星つむぎの村はコミュニティです」って言葉をバーンと出してもらったのですが、私たち、ずっとその言葉を出すのに思い悩んでいたんですよ。事業的なことをやりつつ、同好会的な村人でもあり、自分たちって一体何なんだろう…と思い悩んできて、会議をするなかでひとしずくさんから出た「コミュニティなんだと思いました」という言葉に、やっぱりそうか!って背中を押してもらったんです。開き直れたし、そう言ってもらってすごく安心したんです。

さとう:
なるほど、外にいるひとしずくが整理すること自体に、大きな意味があったというわけなんですね。

跡部さん:
パンフレットの冒頭に入れていただいた「科学的根拠に基づきつつ物語を大切に」というこの言葉も、決定的でしたね。これを言語化できたのは私たちにとってすごく大きなことでした。

「星つむぎの村」的なものとそうでないものっていう境界線は確実にあったのですが、それが何かを自分たちでは簡潔に言語化できていなかったんです。それをこの一行で言語化できた。この一文は、早い段階から提案していただきましたよね。

さとう:
そうですね。最初のヒアリングのあとに、「星つむぎの村」さんを簡潔にどう伝えるかという点は、ひとしずくの担当メンバー三人で時間をかけてディスカッションしました。ヒアリングによって、おふたりの空気感や雰囲気も受け止めて、そぐわない言葉は使わず、大事にされていることを浮き彫りにしていくよう、心がけていました。

高橋さん:
確か最初のヒアリングのとき、使ってほしくない言葉や、こうは思われたくないというイメージはありますか、というのを聞いてもらいましたよね。あれはよかったなと思っています。私たちの輪郭を知ってもらえたんじゃないかなと。

会議はすべてオンライン。「コミュニケーションは十分にできたので、まったく問題を感じなかった」

さとう:
今回、ひとしずくのメンバー三人の拠点が横浜・東京・和歌山とバラバラで、おふたりは山梨県が拠点ということもあり、会議はすべてオンラインで行わせていただきました。その点についてのご感想もお聞きしたいのですが。

高橋さん:
私たち「星つむぎの村」も、会員の村人は全国にいるんです。でも、離れている仲間といっしょに物事を進めていくことが難しいなと思うことは多々あって、やっぱり会ってなんぼ、というふうに思っていたところでした。それが、あそこまでできる、コミュニケーションできるということを今回見せてもらって、大変勉強になりました。真似していこうって跡部と話していたんですよ。

さとう:
コミュニケーションができている、というのは、どんな場面で思われましたか?

高橋さん:
私たちとのオンラインミーティングの前に、ひとしずくのみなさんのなかで課題がきちんと落ちているように感じました。共通の認識、理解、課題を持って会議に入っていらっしゃった。ひとしずくのみなさんのなかで、コミュニケーションできているということがすごくよくわかりました。

跡部さん:
メンバー3名の組み合わせもとてもよかったですよね。ディレクション・デザイン・全体の交通整理と、それぞれのパフォーマンスを発揮することで小気味よく回っていっていたと思います。とくにさとうさんのディレクションがすごいなと感心していたんです。段取りできていて、いろんなクライアントがいるなかで、スケジュール通り完璧に確実に送ってきてくれるので。

最初、不安はあったんですよ。できたら直接みなさんと会いたいなとは思っていたんです。今回オンラインミーティングに使ったのはzoomというアプリケーションで、新たなツールを使わなきゃいけないっていうアレルギー反応も確かにありました。でも、ツールは問題じゃないんだなってわかりました。その向こうにいる人たちが理解してくれたら全然問題ないんだなというのが、今回わかりましたね。

テクノロジーって人を幸せにするためにあると思うんだけど、使われちゃう部分もある。でも、ちゃんと使えばちゃんと人のためになるんだなって思えました(笑)

さとう:
私たちは離れているぶん、コミュニケーションを大事にしているのはあると思います。自由だけれど自立していないといけないし、理解する努力を一層していかないといけないなと常々思っています。

でも何より、お会いする方がみなさん素敵なので、自然と、心からこの方達のことを世の中にお伝えしたいと思うことばかりです。本日おふたりのお話をうかがい、一層その思いを強くしました。情熱的に取り組んでおられるおふたりをぜひそばで応援していきたいと思っていますので、お仕事でも、お仕事じゃなくても、今後も定期的に、お会いできたら嬉しいです。

高橋さん:
こちらとしても、ぜひ今後もよろしくお願いします。

跡部さん:
今度、ひとしずくさんの社員研修で、私たちのオンラインのプラネタリウムのサービスを利用してもらうのもいいんじゃない?仕事だけに止まらず、さまざまな接点でつながっていけたらいいですね。

 
撮影:疋田千里 編集:ちばたかこ

RECENT WORKS

社名ひとしずく株式会社
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大磯オフィス:神奈川県中郡大磯町大磯636-1
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メールinfo@hitoshizuku.co.jp
代表こくぼひろし
設立2016年3月
資本金3,000,000円
事業内容広報及びパブリックリレーションズ代理業
ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
顧問弁護士丁絢奈(よこはま第一法律事務所)
税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション