CASE 07
合同会社SOZO「坂井あわら共生対流協議会」
(2016年9月〜2017年3月)
地域のグリーンツーリズムのモニターツアーを
参加者を集めるところからサポート。
地域の方が自らツアーに取り組むまでにつながった。
地域や農業の活性化をミッションとして多岐に渡って地域振興の仕事を行う合同会社SOZO。そんなSOZO代表、吉岡隆幸さんから依頼を受け、福井県坂井市・あわら市にまたがる複数の地域団体によって結成された「坂井あわら共生対流協議会」が主催するグリーンツーリズムのPRを担当しました。
地域活性を目的とした協議会の運営と企画の依頼が始まりだった
ひとしずく担当者 ちば(以下、ちば):
まずは、SOZOさんに福井県の協議会からどのような依頼があったのか、そしてひとしずくに広報の依頼をいただいたのか、経緯を教えていただけますか。
合同会社SOZO 吉岡隆幸さん(以下、吉岡さん):
合同会社SOZOは、全国の魅力的な農産物や加工食品を仕入れてレストランや小売店に販売する卸売的役割のほか、生産者や地域住民による6次産業の立ち上げやツーリズム支援などを行っている会社です。2016年の春頃、当時福井県坂井市で養鶏や農園レストラン事業を行っていた株式会社JIN(現・株式会社マイファームオリジン)から、「坂井あわら共生対流協議会」の運営と企画をアドバイスしてほしいという依頼がありました。この協議会は、坂井市とあわら市という2つの市を越えて、この地域の活性化を目的に結成された任意団体で、JINはそのなかで中心となっている会社だったんです。
これは地域がよく陥る共通課題だと思うのですが、協議会のみなさんは「やる気はすごくあるけれど、何をどのようにはじめたらよいのかわからない」という状況でした。また、みなさんが本業の傍ら、並列関係で集まっている団体だからこそ、メインでこの協議会を引っ張り運営していく人物が不在、という状態でもあったんです。そこで、JINの代表から私に声がかかったというわけです。
ちば:
最初から「グリーンツーリズムを推進していく」ということが決まって依頼があったのではなく、協議会の運営や企画そのものから吉岡さんに入ってほしいということでしたね。
吉岡さん:
はい、そうなんです。メインで協議会に入って、一年で何かしらの商品を作り上げてほしい、とのことでした。でも、私が中に入ってひとりで何かを作っても結局は意味がないですから。私はマーケット情報を提供し、外からの目線でその地域の輝いているところを外部目線でお伝えすることはできますが、商品を作り続けて運用していくのはその地域に生きる人たちです。私は常々、地域活性化は「人材教育」であり、「人材共育」だと思っています。地域が倒れたら、都市も立ち行かなくなる。地域と都市が共に生き残っていくために、それぞれの場所でどう人が成長していくかということがテーマなんじゃないかと。
そういった思いがあるので、まずは地域住民の方たちを協議会にきちんと巻き込むというところからスタートしました。協議会メンバーを中心に、地元の方たちと月に1〜2回のワークショップを半年ほど行ったんです。ワークショップの内容はシンプルで、「この地域の自慢をなんでも教えてください」というものです。同じテーマを何度も繰り返しつつ、「今回は食べ物だけで」とか「身近な自慢で」とか、細かく切り口を変えていくことで、1回目ではまったく出てこなかった意外な魅力が発掘できるんです。
これは、地元の中にこんなにいいものがたくさんあるんだということを頭とハートで理解していってもらうプロセスです。月に1度以上集まることで単純にメンバー同士が仲良くなっていく、打ち解けていくという効果もありました。たくさんの魅力がわかり、みんながワクワクしてきたところで、じゃあこれをどうやって多くの人に伝えようかと。そこで最終的にできた企画が「グリーンツーリズムのツアー」というものでした。
そして、グリーンツーリズムのツアーをやろう!となった時に、新たに浮上してきたのが広報PRの課題だったんです。ツアー内容については私がアドバイスできますが、例えばモニターツアーを行うための広報や、実施したことのPR、今後本格的に実施する場合の広報のしかたなど、私にはノウハウが足りていないと感じていた領域でした。そこで、大学時代からの旧知の中である、ひとしずくのこくぼさんに、ぜひPR部分を任せたいと思って連絡したんです。
「インバウンドのモニターツアーが実施できた経験は、地域にとって非常に大きな財産になりました」
ちば:
ひとしずくには、どんなことを期待してご依頼いただいたのでしょうか。
吉岡さん:
「PRだからひとしずく」という気持ちだけですぐにお願いしたというのが正直なところで、明確にこういったことを期待して、ということではありませんでした。私自身PRの領域はよくわからないので、どんなことをしてもらえるんだろう?というかんじで。でも、今振り返って、結果的にお願いして本当によかったと思っていますよ。
ちば:
具体的にひとしずくとしては、グリーンツーリズムを進めていくための、モニターツアーの参加者を集めるための広報戦略と、モニターツアー実施後のリリース配信、当日のツアーサポートと取材対応、写真素材の撮影を担当しました。頼んでよかったというのは、どういった点においてそう思っていただいたのでしょうか。
吉岡さん:
まずは、モニターツアーの集客の点。今回のモニターツアーは、福井県近隣に住むファミリー層を主体とした方々に向けたツアーと、インバウンド需要を見込んだ外国の方々向けのツアーの2つの切り口がありました。
近隣住民の参加募集は、地元のフリーペーパーを使って十分な人数が確保できたのですが、インバウンドツアーについてはどうしたらいいか検討のついていない状態だったので、ひとしずくさんのネットワークで人を集めていただき、助かりました。ハラル対応の食事や英語でのコミュニケーションの練習、また海外の方がどういったポイントで喜んでくれるのかを間近で見られたことは、ツアーのホストとなった地域のみなさんにとって非常に大きな財産になったようです。ツアー後の会議で、もっとこういう風にすればよかった、次はこうしたいといった積極的な発言が出ていたのがその証拠です。
協議会自体は2016年度をもって解散になったのですが、参加していた各団体は今、個々でグリーンツーリズムに取り組んでいます。参加団体のひとつだった農家さんは、ツアーでの経験があったから自信を持って一歩を踏み出せたと言っていました。モニターツアー当日にひとしずくさんに撮影していただいた写真も、各団体が広報物に活用しているそうですよ。
不足していたのは、巻き込みのための事前PR。今後に生かすべき経験ができた
吉岡さん:
地元の新聞社へのお声がけと取材対応をしていただいたことも大きかったと思います。私だけでやっていたら、抜けたり手が回らなかったりしたでしょうね。実際に地元の新聞に掲載され、今回の取り組みが地域に認知されたのは今後につながることだったと思います。
また、モニターツアーの内容を詳細にリリースとして作成していただき、掲載があったというのも助かった点のひとつです。協議会の取り組みは農林水産省からの助成金を得て行なわれたものだったので、きちんと結果を報告することができました。
ちば:
担当としては、ツアーの前後と当日の限られた支援しかできなかったと感じていたのですが、地域のみなさんの役に立てたと聞いてほっとしました。では逆に…正直なところをお聞かせいただきたいのですが、ひとしずくが足りなかったところ、もっとやってほしかったと感じたところはありますか?
吉岡さん:
そうですね……今回はスケジュールの都合上どうしようもなかったことなんですが、モニターツアー実施前のPRがもっとできたらよかったなとは思っています。モニターツアー実施前のPRというのは、多くの人に知らせるということもそうなのですが、営業的な、巻き込みのためのPRというイメージです。
地元の旅行会社をメインに、都会に拠点のある旅行会社などに取り組みを知らせて、後々のパッケージ化、商品化につながるような動きをより創出できたらよかったなと。協議会としてグリーンツーリズムを商品化できなかったのは、旅行業法という法律の壁が大きかったんです。旅行会社を巻き込むことができたら、そこはクリアできたはずなので……事前のビジネス的PRという課題が発見できたことは、私自身とても勉強になりましたね。
ちば:
確かに、今回の取り組みがそのまま商品化につながらなかったのは残念ですし、私たちにも、もっとできたことがあったのかもしれません。ひとしずくとして、地域課題を解決するためのPRは継続して実施していますので、ご指摘いただいた具体的成果を見据えたステークホルダーへのPRは、改めて意識していきたいと思います。
吉岡さん:
全体での商品化にはつながりませんでしたが、参加した地域のみなさんにとっての土台づくりには確実に貢献できたプロジェクトだったと思います。地域課題のコンサルティングやプロデュースは、外部の人間が去った時に、「なんだか1回いいことやったよね、よかったね」で終わってしまいがちです。実施したことを地元の方々がきちんと使えるようなツールにして、本人たちの中に落とし込むところまでできるかどうかが最大の課題。今回はそれができたと感じています。
私も、今回の経験を基盤に、今後もひとしずくさんとぜひ協働していきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。
ちば:
こちらこそ、よろしくお願いします!
撮影:柳井隆宏 編集:ちばたかこ
RECENT WORKS
社名 | ひとしずく株式会社 |
所在地 | 本社:〒231-0003 横浜市中区北仲通3-33 大磯オフィス:神奈川県中郡大磯町大磯636-1 |
電話 | 045 900 8611 |
FAX | 045 330 6853 |
メール | info@hitoshizuku.co.jp |
代表 | こくぼひろし |
設立 | 2016年3月 |
資本金 | 3,000,000円 |
事業内容 | 広報及びパブリックリレーションズ代理業 ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営 |
顧問弁護士 | 丁絢奈(よこはま第一法律事務所) |
税務顧問 | 元小出 悟(会計事務所ユニークス) |
顧問社労士 | 社会保険労務士法人ワーク・イノベーション |