CASE 01

特定非営利活動法人地球の木

(2016年11月〜2018年7月)

ひとしずくは、横浜を拠点にする同志。
時間をかけ過程を大切に進めてもらったことが
その後の団体の活動にもつながりました。

特定非営利活動法人「地球の木」(以下、地球の木)は、ひとしずく株式会社(以下、ひとしずく)と同じく横浜市関内地区に事務所を構える国際協力NGOです。アジアの国々で現地のNGOパートナーと協力しながら国際協力支援を行ってきた同団体から、ひとしずくに相談があったのは2016年夏のこと。地球の木事務局の下田寛典さんとともに、案件を振り返りました。

「こくぼくんが横浜で会社を立ち上げたと聞いて、いっしょに何かできたらなと相談したのが始まりです」

地球の木事務局 下田寛典さん

ひとしずく担当者 ちば(以下、ちば):
下田さんと弊社代表のこくぼは、もともと知り合いだったと聞いていますが、本件を依頼していただくことになった経緯を改めて教えていただけますか。

地球の木事務局 下田さん(以下、下田さん):
こくぼくんとは、私がもうひとつ所属して活動しているJVC(特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター)で出会いました。彼が学生インターンとして政策提言の活動に関わっていたんです。こくぼくんは当時から、NGO、NPOの活動が社会に認知されていないことに課題を感じていて、目に見えにくいけれども重要な活動をもっと世の中の人に知ってほしいと真剣に考えているようでした。

彼が大手企業に就職して、この先どうしていくのかな、と思ったことを覚えています。そこからしばらく会っていなくて、まったく彼の動向を知らずにいたのですが……2016年に、NGO、NPOの広報支援を軸に会社を立ち上げると聞いて、ああ、学生の時の想いをそのまま10年持ち続けてついに実現させる時が来たんだなと思いました。拠点を横浜の関内におくと聞いて、地球の木の事務所も近いですし、「いっしょに何かできるんじゃないか」という予感がしてワクワクして。そして秋ごろになって、自然な流れで広報の相談をしたことが始まりでした。

「広報ツールの制作が、団体意義を考えるきっかけにできればと思っていました」

地球の木が支援を続ける国のひとつ、ネパールでのスタディツアーの様子

ちば:
依頼内容は、まずは「パンフレットとホームページの改定、手直し」という具体的な広報ツールの制作支援でしたね。ただ、下田さんは当初から、制作物の完成を目的とするのではなく、もっと大きなところに目的意識を持っていらっしゃいましたよね。

下田さん:
はい、パンフレットやホームページは、最後の着地点だと思っていました。地球の木は今年2018年で設立から27年目を迎え、特定非営利組織としては比較的歴史ある団体といえると思います。ラオス、ネパール、カンボジアの3カ国を中心に継続して国際協力支援を行ってきて、現地NGOパートナーや地域住民たちとしっかりと関係性を築けていますし、日本国内で支援先のことを伝える活動についても、神奈川県内を中心に実績を積み重ねてきたと思います。

私が地球の木に関わったのが2015年から。今後3年間の中期方針を策定していた頃でした。会員が徐々に高齢になってきており、各活動を推進するボランティアチームも若い世代の参加を必要としていたため、中期方針の中で「新たな支援者と出会う」ために2016年度からの3年間で発信を強化していこう、ということになりました。そんな折に、一般財団法人国際協力システムの「NGO支援事業」という助成金の存在を知って、パンフレット、ホームページの改訂をテコにして、新しい支援者獲得のために団体としてどのようなメッセージを発信していったらよいのかを考える機会にしたいと思っていたんです。

もっとも時間をかけたのはヒアリング。会員ひとりひとりが活動を言語化

ヒアリング後にも、ヒアリング結果の報告とパンフレットの素案をみんなで確認し、意見をいただくランチミーティングを開催。アウトプットにつなげるための大切なプロセスとなった

ちば:
じつは私も、地球の木さんのホームページやパンフレットを最初に拝見した時には、「国際協力をしている団体なのはわかるけれど、一体どこが特徴なんだろう」という感想を持ちました。国際協力NGOは全国にたくさんあります。もちろんそれぞれにすばらしい活動をしていると思うのですが、新たな会員を増やすのであれば、地球の木さんだけが持つ魅力的なところはどこか、端的に見せる必要があると思いました。

絶対に魅力はあるはずなのに、見えない、言語化されていない。こうした状況と、ツール制作をきっかけにみんなで団体意義を考えたいという下田さんの想いを合わせた時に、ひとしずくから提案させていただいたのが「ボランティアチームのみなさんにじっくりとヒアリングをさせていただくこと」でした。

下田さん:
できるだけたくさんのボランティアチームのメンバーにヒアリングをしたいという申し出はとてもありがたいと思ったし、結果としても、そこに厚みを持ってやってもらったのはよかったですね。

ちば:
地球の木さんは、海外支援活動で各国ごと3チーム、国内活動として、国際理解を深める出前講座チーム、イベントなどで支援国のクラフト品を販売するクラフトチーム、全体広報を担当する会報誌チームと分かれて活動されていたので、チーム毎にヒアリングさせていただきましたね。現在の活動内容や歴史について、またみなさんがどこにやりがいを感じるかなどボランティアチームのみなさん自身に語っていただきながら、キーワードを大きな紙に書いていきました。

ヒアリングを進めるうちに、みなさんが話しながら言葉を発見されていく瞬間がありました。例えば、「クラフト販売は資金調達のためではなくて、支援国と日本にいる私たちの周りの人たちをつなげる活動なのかも」という言葉。これはそのまま、パンフレットの構成に反映させていただいたんです。

実際に主体的に活動されているみなさん自身の言葉を聞くこと、人柄に触れることができたことは、広報ツールの編集制作をするうえで礎になったとも感じています。

最終決定の難しさは、フラットな組織だからこその課題。ヒアリングのベースがあったから形にできた。

ヒアリングを含め、約8ヵ月かけて完成した団体パンフレット

ちば:
反省点ですとか、弊社が期待に応えきれなかった部分とか、そういったものはありますか?次につながることですし、正直に話していただけたらと思うのですが…。

下田さん:
時間もお金も無限にあるというわけではない中で、よくやっていただいたと思っています。逆に、依頼した側として、さまざまなことの決定に時間がかかってしまい申し訳なかったです。パンフレットの場合は予定より3カ月ほど制作期間がのびてしまいましたよね。

ちば:
たくさんのひとが情熱をもって活動されている団体だからこそ、アウトプットの決定が難しいというのは当初から想像していたことでした。事務局の下田さんには、制作側の事情も理解していただきながら調整していただいて、感謝しています。

それに時間はかかりましたが、ヒアリングに多く時間をとっていただいたおかげで、修正のやりとりについても意思疎通がスムーズにできたと感じています。
修正したいという意見があっても、そのままのほうがよいと思う部分があれば根拠といっしょにそのまま直さずに進めたいと相談させていただいたり、逆に修正したいという意見の理由がしっかりと私自身腑に落ちたり。じっくりと制作に取り組ませていただいて、よいものができ上がったと思っています!

「ボランティアチームのメンバーから発せられる言葉の端々に、活動への自信が感じられるようになりました」

ちば:
今回、ひとしずくといっしょに取り組んだパンフレットの刷新とホームページの改修によって、地球の木さんに何か変化はあったのでしょうか? 

下田さん:
「海外支援で得た気づきを、いかに日本に、神奈川県内に反映していけるかが大事だよね」「海外と、国内での活動の両輪だから」ーー秋以降ボランティアチームのメンバーみなさんから聞かれた言葉なのですが、これらは、これまでも意識されてきたと思いますが、なかなか言語化されてこなかったことかもしれません。パンフレット完成後、こうした発言が多く聞かれるようになってきたように思います。ヒアリングにも制作にも時間をかけたことで、「自分たちはなにを大切にして、なにがしたくて活動している団体なのか」確かめていくことができた。事務局として客観的に見て、みなさんが自分の活動を、自分で言葉にできているなと感じます。

また、今まで団体外部の人と仕事をするという機会自体がそれほど多くなかったので、その経験ができたこともプラスになっています。時間の制約を考えたり、目的に応じて全部詰め込むのではなく絞っていったりという感覚が少しずつ身につきつつあります。今まではあれもこれもとひとつのツールにいろいろな情報を詰め込みがちだったのですが、ターゲットや目的を考えて分けて作ろうという意見がでるようになりました。

ちば:
当初目的とされていた、新たな支援者の獲得について、効果は出ていますか?

下田さん:
多くの新規獲得がすぐにできたかといったらそうではないですが、ボランティアチームのメンバーに「パンフレットだけで支援者を獲得できるわけではない」という認識ができたというのは大きいと思います。入り口となるわかりやすいパンフレットができた、では次になにをしたら会員になってもらえるかを考えはじめて、形になってきたところです。例えば、神奈川県内での小規模な活動報告会をたくさん開催しよう、いう話が出てきています。

自分たちの活動を発信につなげていくことはとても大事なこと。今回のパンフレットの改定、またホームページの改修によって一歩を踏み出すことができたので、今後はツールを生かしながら、よい循環に持っていけたらなと思っています。

 
撮影:疋田千里 編集:ちばたかこ

RECENT WORKS

社名ひとしずく株式会社
所在地本社:〒231-0003 横浜市中区北仲通3-33
大磯オフィス:神奈川県中郡大磯町大磯636-1
電話045 900 8611
FAX045 330 6853
メールinfo@hitoshizuku.co.jp
代表こくぼひろし
設立2016年3月
資本金3,000,000円
事業内容広報及びパブリックリレーションズ代理業
ソーシャルグッドプロジェクトの企画・制作・運営
顧問弁護士丁絢奈(よこはま第一法律事務所)
税務顧問元小出 悟(会計事務所ユニークス)
顧問社労士社会保険労務士法人ワーク・イノベーション